11月の木になる裏噺

今回取材しました紀北町・尾鷲市エリアの
尾鷲ヒノキは三重のブランドとして名高く、
今回、尾鷲ヒノキがふんだんに使われ始神テラスは
地元の紀北町産材で建てるという
簡単そうで、意外と難しい取組みをされた建物なんです。

よく、公共建築物で、地元に山があると
地元の木を使おう、という発想は出るのですが、
林業が成立しているかどうか、
山から木が出てくるのか、
設計に合わせて必要な部材、木の量を把握し、
その上でどの山から確保していくのか、
そして地元の製材所で加工するに分配し、
品質と納期を合わせて建築するというのは
中心の方の熱意と周りの理解が無いと難しいんです。

また、山の木が切られて柱などの部材になるまでには
時間もかかります。
天然乾燥は2年以上乾かしてもなお、乾燥が甘いと言われている中、
人工乾燥技術の普及により、精度のある材木が流通するようになりましたが、
それでも2週間から1か月は製材工場に来てからもかかります。

山の伐採計画はそれ以前に組み立てられており、
需要と供給とは別の森林計画に基づいていることが多いので、
いかに、すり合わせていくかも大切です。

当社も、別の物件で、
山はあるけど林業が盛んでない町の木を使うご相談を受けたことがありますが、
山に同行させていただき拝見したところ、構造材には難しい細い木が多く、
内装材に加工させていただきました。
節の多さに担当の方は驚かれておりましたが、
地域材にこだわる時、その労力は関わる全ての方に直結します。

国産なのか、合法木材なのか、県産材なのか、市町材なのか
当然エリアが狭まるほど、苦労が増えます。
その分、地域に還元できることも多いのですが
エリアを指定することで、割高になるイメージをもたれる設計士さんも
多いのですが、それなりの理由があるものだと思います。

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